アノマロカリス。カンブリア紀の頂点
このサイトで押している「リアルサイズ古生物図鑑」で大きく乗せられている、生物を今回は取り上げていきたいと思う。生物が大派生した時代の王者、その名はアノマロカリスである。
5億年前の巨大な王
恐竜たちが出現するよりも二億年以上も昔、石炭紀よりも古い、約5億年前の古生代カンブリア紀の生態系の頂点に立っていた生物である。
その名前の意味は「奇妙なエビ」
1892年にアノマロカリスは発見された際に、触腕の部分のみがみつかったが、これがエビにとてもよく似ていたためであり、更に体の各部位、歯・触手・体組織が他の動物のものと間違えられてしまい、全体像がつかめなかったのである。全体像が復元されたのは1985年とずいぶん最近になってからの話だ。
ちなみに部位の化石は名前まで付けられていて、かなり特異な生物だったようである。
胴体には、対のヒレ状の器官が13対も並び、これを動かし海中を泳いでいた。尻尾は扇状で、最も目立った特徴が頭部に存在する腕の役割をしていた、二本の触手であった。ここが一番化石として発掘されており、最も強度が高い部位なのだとされている。これで獲物を捕らえ口に運び食べていたとされる。
頭の横に張り出した巨大な目は昆虫が持つ「複眼」であり、その数はトンボの目に匹敵しておりかなりの視力を誇ったと推測される。
圧倒的捕食者、当時はクジラ級
体長は80~100㎝、一メートルほどと、生物が小型のものばかりでったカンブリア紀の生物のなかで、アノマロカリスはけた外れの巨体を誇っていた。
今の動物で例えるなら、カンブリアの通常生物が猫ぐらいの大きさだとすると、アノマロカリス類は鯨ぐらいの大きさだったということになる。どれほど巨体だったのかわかりやすいだろうか。
彼らはカンブリア時代においてまさに最強の存在として間違いはなかった。種のほとんどが小型で
人の手のひらもないほど小型動物ばかりの頃に、アノマロカリス類は最大で2mにも達する大型種が出現していたほどであり、通常一メートルほどの主でさえもほかの生物には山の様にすら思えたことだろう。
その巨体ゆえに食物連鎖の頂点に位置する、まさに最強の生物であった。
アノマロカリスは実は多種類に分かれており、21世紀からかレアのグループに属する古生物たちが大量に見つかったのである。それによると彼らは実に多彩なグループであった。
まず一般的に目にするアノマロカリスは、「アノマロカリス・カナデンシス」という代表種というべきものであり、最も有名な種である。種族は判明しているだけで8種類もいる。
獲物を選んだハンター
圧倒的な巨体を持つのでハンターだったことは明白であり、数多くの生物を捕食していたとされるが近年の研究で、彼らの顎刃物をかみ砕くのに不向きで、捕食ができない構造だと提唱されるようになり出したのである。
口は放射状の歯が輪の様に並んでおり、輪切りのパイナップルの様にも見える。この口は二重構造であり、内部と外部が交互に開く、手の込んだ構造だったのである。そのため獲物は食いつかれると逃れられなかったとされる。
この強力な口と歯で当時の海の三葉虫たちを食べていたとされるが、固い殻がある三葉虫を捕食するのに、顎が貧弱で、食べることはできないのではと言われ出した。
2012年にこれまでの彼らの歯は他の仲間たちの歯と、混同されていたと明らかにされ、実際はもっと小さく、とても捕食ができるようなものではなかったのである。それからはもっと小さいプランクトン類を食べていると推測されるようになった。しかし三葉虫にも噛みキズと思われる傷が残った化石も見つかり、これはアノマロカリスが負わせたものとされている。
このことからアノマロカリスは脱皮直後の柔らかい個体を襲っていたか、子供を狙っていたと考えられている。
実際彼らの口の部分の化石には、固い獲物を食べていたのならついていたはずの傷がなく、排泄物の化石も見つかっているが、そこからも硬い部分は発見されなかったのである。だがその巨体と口は小型生物のとっては当時、並みならぬ脅威であったことだけは変わらない事実である。
星の爆発により絶滅
絶滅原因は諸説あれど、アノマロカリス類はデボン紀前期まで生きていたが、地球近くでの超新星爆発によるガンマ線バーストによって滅んだのだとされている。
星は最後に爆発し、その後ブラックホールになるまでガンマ線を出すのだが、これが一瞬だがデボン紀の地球に降り注ぎ、アノマロカリスの命を奪い取ったとされている。それでも小型種は生き延びたが、デボン紀は寒冷化と海水面の低下による変化が起こり、遠からず絶滅してしまった。