古代の怪物クマ、アルクトドゥス
今回も恐竜でこそないがその恐竜にも引けを取らないほどの最強クラスの古代の強獣について取り上げる。
その猛獣は人間にとっても擬人化やキャラクターのモデルとしても顕著な動物の祖先でありかわいらしいなどの楽観的な見方すらされ、身近でありながら、非常に危険な存在である。それこそがクマ類である。
熊
現在の日本では最近こんなニュースを聞く機会が増えたように思う。熊が民家周辺に出没し、人的被害が出たというニュースである。果ては格闘技を習っていた人が傷を負いながらも迎撃に成功したというニュースには正直驚かされた。
近年は環境変動のせいで山での熊たちのエサが少なくなり、人里に降りてきてしまうといったニュースが跡を絶たない。
特に東北や、近畿、中部地方でそういったニュースが報じられるようになったと感じられる。上野動物園で赤ちゃんパンダが生まれ喜びに沸いたが、彼らも知っての通りクマ類の一種のなのである。
一説ではほかのクマとの生存争いに負け、山岳部に追いやられ現在のように竹を食べるように変化していったとされている。
熊の祖先
現在のクマにあたる生物の祖先は約4千万年前に出現したともされている。分類学的にはイヌ科動物の一部の動物から進化したともされており、形質的に犬に似た特徴も見られる。
クマは北海道で反映しているヒグマのように世界各地の生態家においても重要な生物であり、その巨体から人間にも恐れあれる存在である。
しかしそんな熊たちにも過去には現在のホッキョクグマすら子供に思えてしまうほどの、本物の怪物といってもいい超巨大肉食グマが生息していたのである。その巨大クマの名は「アルクトドゥス」
約80万年前に現れ、当時のアメリカ大陸最大の捕食者とされた。その姿は現在のクマよりも足が長く、体格も3メートル越えのものも珍しくない、それどころかそれほどの巨体が平均的な体格ともされた。最大の特徴としては彼らが現在のクマ類に比べ明らかに肉食傾向が強かったとされることである。
どういうことなのかというと彼らの身体的特徴が肉食獣、捕食者に共通した特徴を兼ね備えていたからである。脚は現在のクマよりも長く、スピードが出しやすい形であり(ダチョウの骨格を見れば脚が異常に長く、それがスピードの根源なのだ)、時速60キロ以上は出せたと考えられている。
生態
頭骨もショートフェイスベアの名の、ショートフェイスの通り、鼻づらが短くなっており犬歯も互いの幅が広く現在の大型ネコ科動物、ライオンやトラ類に近い形の頭骨だったのである。奥歯も鋭く肉を切れる構造であり、強力な咬筋力を持っていたとされ前述の足の構造から見てもこのことから強力な捕食者だったことは容易に見て取れる。
一部では腐肉食のスカベンジャーだったとされ、実際現在のクマも死肉を漁ることも多いが、彼らはそのスピードが出せる脚で、獲物を追いかけ強力な顎で噛み殺し捕食していたとされる。
いちおう同じような時代にもアルクトドゥスにも引けを取らないほどの巨大グマがいたのだが、詳細は別記事で取り上げる。その別種の骨格を見てもそれらは草食傾向、もしくは雑食性だったとされており、現在のクマとたいして変わらない姿をしていた。
彼らの復元骨格を見ても獰猛そうな印象な真っ先に思い浮かぶほど、捕食者としての面影が色濃く残っている。
現在で古代の肉食動物の中でも上位の存在であり、当時すでに出現していたライオン類ですら彼らには敵わないといわれたほどの絶対的な強さをも誇ったとされる。
ある意味恐竜たちが絶滅して、そこから哺乳類の天下が始まったとも個人的に思っているが、アルクトドゥスもそういった哺乳類時代のひとつ王者だったのだろう。