アステリオルニス、恐竜時代最古の新鳥類
恐竜と鳥類は実質的に「同種」だという認識が広まり始めたが、現代に生きる鳥類「現生鳥類」の直接の先祖というべき種はいまだ確認できていない。
このほど、その鳥類のなかで最古というべき鳥類が報告されたので書き留めていこう。
完璧な鳥類化石
今回の主人公は「アステリオルニス」。名前はギリシャ神話の巨神族、流星の女神「アステリア」からとられた。
正式名は「アステリオルニス・マーストリヒテンシス」。
アステリアはウズラに姿を変えたともいわれ、今回の主人公の経緯には見事に当てはまっていると思う。約6670万年前のベルギーに生息していたとされる、世界最古の「現生鳥類」とされる古代鳥類である。
ベルギーとオランダの国境付近で、トランプカード一組ほどの大きさの岩石の中から化石が発見された。発見されたのは現在から20年前で、頭蓋骨の完全な化石が保存されていた。体重約400gほどと非常に小柄な鳥で、恐竜たちと同時期に明確に生きていた鳥類として明確な証拠を示す新種である。
現代のキジ類やカモ類と近縁種であり、この両方の特徴を併せ持っていたことも判明した。それらの共通祖先と関連性がうかがい知れるという。研究者たちはユーモアを込めて、アステリオルニスを「ワンダーチキン」と呼称している。
浮かぶ白亜紀の鳥類像
アステリオルニスの生存年代は、白亜紀の末期であり、その70万年後に隕石の衝突にあったとされる。恐竜時代に鳥類は多くいたが、それは全て「歯」を持つエナンティオルニス類で、恐竜と共に絶滅してしまった。
現代の鳥類は「新鳥類」と呼ばれる、白亜紀末期に出現したグループにすべて由来している。
アステリオルニスは、カモ目とキジ目の共通祖先に近いとされ、学説ではそれらの祖先が白亜紀にいたことはわかっていたが、この発見で確証づけられたという。
細長い足を持ち、小柄で暖かな海洋付近に生息していた可能性が高いという。
詳しい生態は不明だが、飛行できたとされ鳥類は飛行能力のおかげで広範囲を移動でき、多様な食物を食べられたことが生存の成功につながったとされている。
アステリオルニスは鳥類の存続の解明に、一役買ってくれる発見ということなのだ。