神にもなったイノシシ。
秋の季節というと、自然界では動物たちも冬の備えのために活動が活発化する時期であり、特に各地で食べ物狙いで人里に動物が出現し、人的被害を与えるといったケースも後を絶たない。人間と自然の境界線もなくなりつつある昨今では、対応にいつも追われているのが現状である。
人里に現れ、人にけがをさせるケースが多い動物というのは、「イノシシ」がかなり多く見受けられる。ニュースでも噛みつかれただの畑を食い荒らす「食害」といったケースはよく見られる。今回はそのイノシシと人の関係について書いて生きたい。
適応性が高く、意外と能力が高い
イノシシは日本各地で見受けられる生き物で、「猪突猛進」といった言葉にある様に人にも警戒せず突っこんでくることがある、体重は100~170㎝、体重は80~190㎏、と個体でかなりばらつきがある生き物で過去には200キロ級の個体も捕獲されたほど。
突っこんでくる凶暴な動物に見られがちだが、じつはかなり神経質で、寧ろ危険は避けるたちである。
だがその突進は危険極まりなく、大の大人ですら吹っ飛ばされるほどであり、更に彼らの牙は下方から上へしゃくりあげるようにして突き刺してくるので、刺し傷すら追わせられることがあり、下手すると死につながる危険すらある。噛む力も相当強く、小型動物の骨ならかみ砕けるほどである。
雑食性であり、口に入るものならいたってなんでも食べるほどである。山間部ではキノコにタケノコ、ヘビやトカゲなどの小動物、どんぐり、トウモロコシ、田畑の野菜や穀物といった幅広い食性で、食害を与えてしまうことがある。
見た目よりも身体能力が高く、時速40キロで走ったり、100センチ以上の柵をジャンプで飛び越えたり、泳ぐこともできる。鼻先の力も強く、60㎏以上の物体を動かせるほどである。これで石をどけたりして石下の昆虫を探し捕食するのである。
肉は貴重でけっこう美味い、栄養価も高い
狩猟の対象と古くから認識され、その肉も貴重な食料であった。脂肪と肉がはっきりと分かれるため「牡丹肉」と通称され「山鯨」ともいわれ、山間部でよく食され、別名「薬喰い」とも呼ばれるほど滋養強壮に効果がある食材だ。
リュウキュウイノシシも現地の貴重な食材とされ、かの西郷隆盛も好んだとされる。縄文時代から狩猟対象であり、遺跡でイノシシの骨が見つかったこともあり貴重な食料だったことは確実である。
肉は主に鍋として「シシ鍋」として食べられ、ジビエ料理として人気が出てきている。タンパク質は普通の豚肉以上であり、脂肪が少ないのが特徴である。
一般的にこういった野生動物の肉は臭みが強いと、忌避される傾向にあるが下処理をきちんと行えば、問題なく食せるようになり、普通の家畜肉よりも美味なものがある程である。
ちなみにブタを野生に話すと数日のうちにイノシシの様になって野生に適応してしまうらしい。
文化でも結構なが広まっている
古来より人とかかわってきたためか、文化的にも強い影響を及ぼしている。「イノシシ」という言葉は考えなしに物事に突っ込んでいく人物に欠けられたりする言葉で最近は漫画でもよく使われる言葉でもある。
幼獣の売り坊はよこしまがある模様のためか、大人よりもかわいくみられマスコットとしてよく知られている。だが一年も経つと大人と変わらなくなり可愛さは完全に消え去る。この模様がウリに似ているので「うり坊」と呼ばれる。
ジブリ映画「もののけ姫」でも彼らは一種の神であり、それに手を出した結果恨みに染まり人に害をなす「タタリ神」になるというシーンがある、ちなみに劇中では「猪」と書いて「シシ」と称され、「シシガミ」という大きな猪も出てくる。ギリシャ神話では「カリュドーンの猪」という怪物イノシシも登場し、英雄ヘラクレスもイノシシとたたかった逸話がある等、世界でもイノシシは人にとってある意味身近な存在なのである。
人前によく現れるので対策に追われる。
人前によく姿を見せるが、最近ではダムに落ちてしまい脱出手段をどうしようか人間が考えたりとかなり苦心している。昔は猟師も多かった目にそこまで被害は報じられなかったが開発が進み、自然がなくなったために人里に出没するといったケースも後を絶たない。
猟師も後継者不足と高年齢化に伴う現象で、悪化の一途をたどっているのが現状である。農家では電気柵での対策をしているが、コストの問題があり完全な対策ができているとはとても言えない現状にある。
いまでは食肉目的で狩ったりなどで、少しづつではあれど対策は進んでいるとはいえるのだろう。