全ての礎となった時代、古生代デボン紀
我々人間も立派な動物の一角であり、我々の祖先たる哺乳類は恐竜たちが地球上に君臨していた時代にはまだネズミの大きさにも満たない、非常に小柄な生物で隠れて生きるしか道はなかった。
そんな哺乳類も背骨を持った脊椎動物の一種であり、地球で最初に背骨を持ったのが魚、「魚類」である。
生物が本格的に陸に上がった時代
今回は恐竜時代よりもはるか昔、現在から約4憶1600万年前の時代にして魚類が大繁栄を誇った時代の記事を書き留める。その時代の名は「デボン紀」、名前の由来はイギリスのデヴォン州から付けられた。
この時代の主役たちはまさに魚たちであった。それと同時に生物が陸上へ本格的に進出することになった、最初の時代でもある。ここから陸上生物の天下が始まったといっても過言ではない。
魚類が大繁栄した時代
さてこの時代の代表格ともいうべき生物もやはり魚類が占めていた。海には現在の魚と違い「顎」を持たない「無顎類」、それと逆に初めて顎を持った魚類、節足動物、現在の魚の大半が属する「硬骨魚類」がいた。
また後に海の王者となるサメ類が所属する「軟骨魚類」もこの時代に出現した。実際に現生のサメとほぼ変わらない種類まで既に現れていた。実際この時代の地層からは魚類の化石が大量に出土しており、かなりの多様化と繁栄がこの時代に起こっていたことを物語っている。
そのなかで特に「板皮類」(ばんぴるい)という特殊な魚類の一群が特に目立っていた。この時代は顎を持った魚類が種類を増やし繁栄し始めていた時期であり、彼らの持つ「顎」は強力な武器であり、この武器を駆使して広範囲に生息していた。
その代表格とされる生物が「ダンクルオステウス」という体長最大10mに達する、怪物魚であった。そういった魚類の中からエラではなく肺で呼吸するシーラカンスやユーステノプテロンといった「肉鰭類」が現れ、そこから「イクチオステガ」、「アカントステガ」などの最古の両生類ともいうべき生物が魚類の中から進化し、脊椎動物として初の陸上への進出を可能とすることとなった。
全ての生物の基盤が出来上がった時代
当時の地球の環境は後の石炭紀の植物の大繁栄にみられるように、この時代は陸上で植物が繁栄し始めたちょうどその時期である。
パルティカ大陸とローレンシア大陸が衝突し、その結果巨大な山脈ができた。この山脈は大気の流れを大きく遮ることになり、周辺地域に雨を降らし、湖が形成され、それに伴い河川が作られ、そこを起点に植物も繁栄し、動物も生息域の拡大に貢献することにもつながった。
植物は主に裸子植物の一種にして、恐竜時代から既にこの地球に出現していた「シダ類」、その先祖ともいうべき初期の植物であった。最初期の植物は今現在人間が知る植物とは似ても似つかない形をしていた。
だが時間がたちデボン紀後期になるころには巨大な「樹木」ともいうべき植物が登場し、地球最古の森林が形成されるのである。
このころにはすでに植物は多様化が始まっており、裸子植物もすでに登場していた。この森林と河川の拡大により、湿地帯も増えていき。多くの生物が進化を促され、種類も多様化していったのである。
しかし大陸内部は乾燥した地域が多く、そういった地域にはまだ適応が不十分な生物が多く、このような環境に適応するために陸上に進出した初めての生物たる、両生類の中から強固な皮膚と鱗を持つより乾燥に強い種族たる「爬虫類」が出現することになるのである。
昆虫類もこの時代以前に祖先あたる節足動物が陸上に出現し始め、世紀対動物以上に環境適応が進んでいった。後の石炭紀の高濃度酸素の環境下に置かれたことにより、巨大化が促進されることになり、同時多様化にも拍車がかかりやがて翅を持った昆虫が現れ、地球史上初の飛行生物が誕生することになる。
大絶滅の謎
デボン紀には一つ大きな謎がある。デボン紀末期の大絶滅は地球5大絶滅の一角とされる大規模な絶滅で、海洋生物が82%も死滅したほどで個の絶滅で、代表格たるダンクルオステウス、三葉虫や無顎類が生命を絶たれた。
絶滅の原因は気候の寒暖の差、海水面の後退と低酸素化、寒冷化などが要因に挙げられるが、決定的な要因はいまだに判明しておらず、謎に包まれている
すべての生物にとってこの時代、デボン紀は「始まり」といってもいい時代であり、ここから地球の陸上は賑やかさを増していくのである。
すべての生物史の基盤となったデボン紀こそ、すべての始まりだったのである。