「エラスモサウルス」長い首が特徴の首長竜
中生代は恐竜たちと並び、翼竜と首長竜が大繁栄しており、一般人の視点からすれば恐竜と首長竜たちには大差がないらしい。
生物学的には別種だが、姿かたちという点なら「恐竜」といっても違和感がないからだろうか。
そこで今回は首長竜の有名なものを取り上げていく。
この種も恐竜とほぼ混同されているし。
最も有名な首長竜
その首長竜の名前は「エラスモサウルス」。名前の意味は「リボンのトカゲ」
和名は「長頸竜(ちょうけいりゅう)」。一般には「くびながりゅう」で通用している。
約8350万年~7050万年前の、白亜紀後期の北米の海洋付近に主に生息していた首長竜で、首長竜でも特に有名な存在である。
「首長竜」というカテゴリーの代表ともいうべき存在で、この種は図鑑でも必ず登場する全生物中で、最も多くの頸椎を持つ動物といわれている。化石はアメリカ、日本、ロシア、オセアニアと広範囲で見つかっており、世界的に繁栄していたと思われる。
全長は14mとかなり大柄で、最大の特徴たる首はなんと8mにも達し、全身の7割近くを占めるほどに長大であった。胴体は太い樽上で、柔軟性に乏しく四肢はオール上の鰭と化し遊泳に完全に適応しており、前方の鰭のほうが少し長かったという。
1867年に最初の化石が組み立てられたので、この種もかなり古い時代に化石が見つかった生物である。
長大かつ柔軟な首
最大の特徴は8mにも及ぶ非常に長い首で、上下左右にも自在に動かせたとされ、昔から図鑑ではこの首をヘビの様にくねらせている描写がかなり多く描かれている。この首はエラスモサウルスの最大の捕食器官でもあった。
その首の頸椎の数は、72個~74個~76個~79個にも及んだとされ、それゆえ関節の数も多く柔軟に首を動かせたとされる。骨の構造を見ても、柔軟な関節を動かせるだけの強靭な筋肉があり、小さな頭は首を動かしても邪魔にならないようになっていたのが見て取れる。
だが、水中を泳いでいる際には、下手に動かすと水の抵抗を受けてしまうので、遊泳中はまっすぐに伸ばして抵抗を減らしていたと考えられている。エラスモサウルスは機動力に乏しく、捕食には長大な首が役立ち、非常に柔軟故に動かしにくい胴体に代わって広範囲の獲物を捕らえる道具にもなった。
食事は海産物が主で、古代の魚類は当然のこと、イカ類、当時繁栄を極めていたアンモナイト類をもよく食べていたとされる。
他には海底に隠れていた貝類や甲殻類も好んで食し。魚群に遭遇すると、群れの下方から頭を持ち上げる様にして魚を捕らえたとされる。
水中に完全に適応
エラスモサウルスの歯は円錐形の細長く鋭い歯で、下顎の歯は上顎まで伸び、上顎の歯下顎まで伸びている。
上下の歯とも噛み合う乱杭歯の構造になっており、獲物に噛みつくと滑りにくく食い込んで離さない構造になっていた。
これは魚食性の恐竜類にも多くみられる特徴であり、彼らの食性が魚食性に特化していた、いい証拠になっている。またエラスモサウルスの胃の内容物には、翼竜の物と思われる化石も含まれており、機会があれば水面近くを飛行していた翼竜に対し、長い首で噛みつき、水中に引きづりこんで捕食していたとされる。
胃の部分から大量の胃石も発見されており、これは食物の消化を助けるために飲み込んだものか、海中で浮力を調節するための重りとして飲み込んでいたとされる。
また近縁種の鰭には歯形が残った化石も多く見つかっており、これは当時はサメ類やモササウルス類も繁栄していたため、これらに襲われ傷を負わされたものと考えられている。また卵胎生であり、メスはたまごを一度体内で孵してから、ある程度成長するまで腹部で育てていたとされる。
正に当時の魔境ともいうべき海洋で繁栄を誇った、首長竜であり、その特徴も海に完全に適応したものであった。