ギガノトサウルス、超巨大な南のトカゲ
恐竜は全般的に大型のものを思い浮かべる、実際10メートル越えのものも多いうえ、種によっては20メートル級のものも存在する。ティラノサウルスも最大級の大きさを誇る肉食恐竜として知られているが、20数年ほど前にはそのティラノをも超えるとされる、巨大肉食竜が話題になったのである。
巨大肉食竜、ギガノトサウルス
恐竜の名は「ギガノトサウルス」白亜紀後期初頭の南アメリカに生息していたとされる、カルカロドントサウルス類というグループに属する巨大肉食恐竜である。名前の意味も「巨大な南のトカゲ」とされるものである。
全長12メートルから13メートルとティラノサウルスに全く劣らない巨体を持っており、わずかながらティラノを上回っていたともされる。しかし骨格自体はティラノに比べると幾分細身であり、ティラノよりは軽かったともされる。
頭骨も厚みがあり頑強なティラノに比べて幅が狭く薄く幾分長く軽い構造になっており、獲物を力任せに噛めない構造ともされた。
歯自体も厚みに秀でたティラノの歯に比べナイフのように薄く、切れ味では上だったが骨をかみ砕くことも難しかったともされる。ティラノの歯は厚みがあり獲物を骨ごとかみ砕いてしまえる。
顎と歯の構造から見て獲物を出血多量で失血死に追いやるという狩猟をしていたらしい。それゆえ硬い骨や筋肉には手を出さず、内臓を優先して食べていたのではないかともいわれる。
半面腕はティラノよりも大きく、しっかりとした武器の役割を全うできていた、アロサウルス類の特徴として腕が大きく、武器に使われたのは明らかなのである。
誇張された姿
このギガノトサウルスは発見当初こそ話題になったが、それ以降スピノサウルスやそれ以上の肉食竜たちの新種が次々に発見されたため、印象が薄くなりいまではあまり話題に上がることはない。
しかし発見当初の話題はかなりのもので骨格がたいして発見されていなかったことも相まってか誇張されてしまうことが多かったらしい。その最たる例がゲーム「ディノクライシス2」であろう。
このころはまだギガノトサウルスの研究が進んでおらず、インパクトを残すためか、体長20メートル以上のもはや怪物といっていいほどの巨体にまで、かなり誇張されて表現されていた。
ゲーム中では伝説の恐竜とまで表現され、ティラノサウルスですら赤子扱いするほどの怪物となっていた。しかしティラノとギガノトサウルスの生息していた時代には数千万年もの時間差があり、実質彼らが戦うことは現実ではあり得なかった。しかしその知名度は抜群に高いことには変わりなく、メディアや捜索でも露出の機会に非常に恵まれている。
スピノサウルスは今でこそティラノと同列に語られている肉食恐竜だが、近年までティラノとは対等な存在とは言えなかった。そういったまだライバルが少なかった頃に、ティラノを超えるとされた唯一の肉食恐竜という点で彼らは有名になっていったのだろう。
「ウォーキングwithダイナソー」シリーズの作品でもギガノトサウルスを扱っている作品があるので、確かめてはどうだろうか。
ギガノトサウルスのフィギュアがいくつか販売しているので、ジュラ紀の恐るべき巨大肉食恐竜の威厳が確かめられる一品なので、肉食好きにはいいかもしれない。