ギガントピテクス!史上最大の類人猿
恐竜類の巨大さや特異性が取り上げられてきたが、恐竜絶滅後の動物も十分珍しさと、奇妙さに満ちていた。
そんな巨大類人猿を書いていく。
史上最大の類人猿
その類人猿の名は「ギガントピテクス」。
約100万年~30~10万年前の中国、インド、ベトナムに生息していたとされる「史上最大の類人猿」「史上最大の霊長類」とされる。
名前の意味は「巨人の猿」、中国では「巨猿」と呼ばれる。
全長は1.8~3m、体重は200~500㎏はあったとされる。
これは現代のゴリラの軽く2倍になる巨体である。
古代の東南アジアの亜熱帯雨林に生息していたという。
1960年代の研究者は「アウストラロピテクスに相当する、人類の祖先」であると提唱されたが、否定され、人類の進化とは違う道筋を辿った絶滅類人猿であるとされる。
化石は前述通りの地域で見つかった。
しかし、その化石にかなりの難点があった。
化石はほぼ見つかっていない
ギガントピテクスは化石が、巨大な下顎とそこについた歯の化石以外、一切発見されていないのである。
全長を図るのに必要な、四肢の骨も一切が発見されていない。
それゆえ、ギガントピテクスの体格は近縁種および、現代の類人猿から比較して割り出されたものだが、やはり信ぴょう性に乏しく、顎が大きいだけで、実際はゴリラくらいの大きさしかなかったという見解もある。
その下顎の大きさは、現代のホモ・サピエンスの2倍以上の大きさがあり、奥歯も2.5㎝四方の巨大なものだった。頭だけが大きい生物は不自然で、ギガントピテクスは巨大だったという意見も支持され、確証は得られていない。
一般のイメージでも、ギガントピテクスは巨大に描かれている。
近年の研究によると復元図ではゴリラよりも、オランウータンに近い姿だったとされる。
分類的にはオランウータンより人に近く、ゴリラよりは遠いという。
食べ物と巨大化が絶滅の原因
10万年前に突然絶滅したとされるが、それは巨大化と食物が大きく関わっているという。
彼らの食性を鑑みると、草食性で当時の森林の竹や果実を主食に暮らしていたらしい。
体格が大きいために、その分大量の食事を必要としていたのは明白である。
それがかれらの絶滅の大きな理由ともされる。
唯一発見されている歯を調べてみると、彼らは竹をあまり好んでいなかったという、しかし竹を食べるときは食べていたであろう。
主に果実類が主食だったと考えられる。
だが当時はユーラシア大陸の森林地帯が、急速に草原地帯へ変わった時期とも重なっていた。
大量に食べる必要があり、食物をえり好みしすぎていた生態だったギガントピテクスは、
恵まれた森林から、草原への適応ができなかったとされている。
同じものを食べる動物との競争、環境の激変が、彼らの絶滅の最大の理由とされる。
だが、彼らの生きていた時代はなんとパンダの仲間が台頭した時期と重なっているという。
食物の特定化をしすぎたせいで、同じものを食べるように進化したであろうパンダと生態が重なったという。
パンダの出現で、重要な食料の竹が大量に食べられていったという。
食物のえり好み、巨大化、競争、環境の激変、更に巨大な類人猿は繁殖力に乏しく、
子供が少なかったことも大きな原因とされる。
ホモ・エレクトスという類人猿とも競争関係になり、あらゆる悪い要素が重なりすぎたらしい。
他の類人猿は、新たな食物を食べることで乗り越えることができたという。
UMAのモデル
一部ではビッグフット等のUMAのモデルとされており、生存説もわずかながら存在するが、現代の環境ではほぼ生き残っていないとされる。
他にも創作では、近年注目を集めるようになったのか、映画「キングコング(2005)」で、劇中に登場するキングコングはこのギガントピテクスが進化した種である。
「ジャングル・フッド」でもオランウータンをそのまま大きくしたような姿で登場している。
これだけの生物が、パンダによって絶滅に追い込まれたというのは意外な話だが、環境というのはそれまでの生物の進化を全て台無しにするような冷酷さもはらんでいると思うと、なかなかにやるせない話である。