ツァボの人喰いライオン⑤ 事件の終わり
最悪のライオンの記事を再び書いていく。
人喰いライオンの片方を仕留め、残るは一頭になった。
人食いは残り一頭
人喰いライオンを片方仕留め、労働者は歓喜に沸き、夜通し宴が開かれた。
この朗報は国中にも知れ渡り、多くの祝電も届いた。
しかし、一頭目を仕留めてからわずか3日後に残るもう一頭は、近辺の鉄道監督官を狙った。襲撃は失敗に終わり、近くにいたヤギ2頭で空腹を満たすことにした。
パターソンはその話を聞き、すぐに駆け付けそこでライオンを待ち伏せた。
近くに無人の鉄製の小屋があり、前回の経験を活かし小屋の中に3頭のヤギを囮にし、ライオンを待ち伏せた。
ヤギは100㎏以上の鉄製レールに繋いだので、ライオンは持っていけずそこで食べると予想しての措置だった。時間が過ぎ、夜明け前になり遂にライオンが姿を現し、小屋のヤギに襲い掛かった。
なんと他の2頭のヤギもレールもろとも持ち去っていくなど、怪物じみた力技を見せた。パターソンは銃を発砲したが、外れてしまいライオンは取り逃がしてしまった。
迫る終局
夜明けになり追跡を開始し、レールの跡があったために400メートルほど先でヤギを喰っているライオンを発見した。
気づいたライオンは茂みに身を隠し、唸り声をあげた。
更に近づくと、ライオンが攻撃してきたため、捜索隊は一斉に近くの木に登り難を逃れた。ライオンは混乱のスキを突き、またも逃亡した。
しかしヤギにはほぼ手が付けられておらず、前回と同じようにまたヤギを食べに来ると予想して、丈夫な足場を組み立て、日暮れ前にそこに上りライオンを待った。
しかし連日の待ち伏せで疲労困憊であり、今回は見張り要員も連れてきていた。パターソンが仮眠していると、見張りが彼を叩き起こしライオンが来たと伝えた。2連銃を装備し、ライオンを待っていると遂に姿を見せた。
ライオンの姿を確認したパターソンは一気に銃を放ち、ライオンは銃撃をまともに受けよろめいた。パターソンは追撃をしたが、ライオンはやぶに逃れ、その方向に銃を乱射するしかなかった。
夜が明け、ライオンの跡を追うと血痕がはっきりと残されており、何回も休んだ跡があり、相当な負傷を負わせたのは明白だった。
だがライオンは見つからず、岩場になり追跡も困難になりそれ以上の追跡は断念した。
最後の戦い
その後10日間程、ライオンは姿を見せずパターソンらは傷が元で死んだと考えたが、警戒は怠らず夜の見張りは続けた。結果的に犠牲者はそれ以上出ずに済んだ。
だが12月27日の夜に、作業員の叫び声でパターソンは目が覚めた。
ライオンが再び襲撃してきたのだ。幸い作業員はライオンを警戒し、木の上で休んでいたため犠牲者は出なかった。
暗闇で姿が見えなかったパターソンは、銃を放ちライオンを追い払った。
翌日パターソンは作業員のいた木の上でライオンを待ち伏せることにした。
その夜は幸運なことに月夜で明るく、見通しもきき、条件は良好だった。
仮眠を取っていると異様な雰囲気を感じたパターソンは目を覚まし、周囲をうかがうと、何かがかすかに動く気配があった。そこを注視すると、ライオンが隠れていたのだ。
周囲には小さな草むらしかなく、隠れるには無理があったが、ライオンは巧妙に草むらに身を隠し、じりじりと距離を詰めてきた。
パターソンはライオンを逃がさないよう、更に近づくのを待った。
20m程距離が縮まったところで、パターソンはライオンの胸部目掛け、ついに発砲した。
弾は命中したが、ライオンは方向転換し逃げようとしたが、すかさずパターソンは連発銃で3発の弾を打ち込んだ。この射撃も命中したことが分かった。
悪魔の断末魔
夜が明けて安全になってから、捜索隊を編成し追跡に出発、ライオンは出血していたために追跡は容易だった。
林を400m進んだところで、突然ライオンの唸り声が聞こえた。
ライオンがやぶの向こうで威嚇しているのを見つけ、パターソンはすかさず発砲、するとライオンは飛び上がって逆襲してきたが、もう一発放ち、ライオンは一度倒れたが、すぐに立ち上がり片足を引きずりながら向かってきた。
3発目を撃っても死なず、とどめを刺そうと同行者の銃を手渡してもらおうとするが、皆恐怖のあまり気の上に登って避難してしまっていた。
パターソンも木に登り、ライオンから逃れるとライオンはすきを突き逃げようとするが、パターソンは同行者の銃を奪い取り、間髪なく発砲した。