「メガテリウム」可愛いいと言う概念て一体何?
現代で愛されている人気動物の想像を絶する過去を細かく書いていきたい。正直どのような経緯であんな変化をしていったのか受け入れられないほどである。その生物とはナマケモノ、その祖先の話である。
省エネで生きるナマケモノ
ナマケモノと聞くと、まずほとんどの人がこうイメージするだろう、動きの鈍いかわいい生物。実際彼らは動きが極端に遅く、その気になれば人間ですら簡単にとらえることも不可能ではない。
生息域のブラジルでは近年になり森林の伐採が進んだ結果、住む場所を失ったナマケモノたちが住宅街に出没するという珍事が起こるようになってしまっている。
そんな彼らの祖先は一万年以上昔に絶滅したとされている。つまりナマケモノ自体は人間からすれば非常に長い間種族を存続させることに成功していることになるのだが、その理由こそが彼らの「のろさ」である。
彼らはあまりにも動きが遅く捕食者の手にかかることも少なくない、しかしそれこそが彼らの種族が生き延びる最大の武器になったのである。
動きが遅い分彼らはエネルギー消費が少なく、しかも哺乳類の中では非常に珍しい爬虫類のような変温動物であり代謝も低いのである、それゆえ少ない食料でも生き延びることができ、食事すら一日に10グラムの葉を食べるだけで済んでしまうほど、エコロジーな動物なのである。だがそんな彼らの祖先はかわいいなどという言葉とは無縁の怪物だったのだ。
ナマケモノの祖先
彼らの祖先は氷河期のころから存在していた、氷河期に生息していた生物は寒さに耐えるための適応の結果、体を巨大化させた。それゆえ大型動物が数多いのがこの時代の一つの特徴といっていい。
その中でナマケモノの先祖である超巨大獣がいた。その生物の名は「メガテリウム」体長約7メートルにも達する太古のナマケモノである。和名でも「オオナマケモノ」と名づけられているものの、その巨大な体はもはやナマケモノといったカテゴリーに当てはまらないほどであり、体重も3トンにも及ぶ超ヘビー級であった。
彼らは現在の子孫たちとは違い地上性であり、当時のアメリカ東部をはじめとしてブラジル、中央アメリカといったかなりの広範囲に生息しており、当時のアメリカではかなりの繁栄を誇っていたことは想像に難くない。
巨大化したナマケモノ生態
メガテリウムたちは愛らしさとは無縁のまさに怪物であった。彼らはその巨体を維持するために70種近くの植物を口にしており、しかも栄養価が低かったので大量に食べる必要があったのである。前歯は持っていなかったがほほの筋肉は強力で力強い顎で植物をかみ砕いて食べていたと考えられている。
前足には巨大で強靭なかぎ爪があった。この爪は現代のナマケモノにも受け継がれているが、彼らの爪は道具であると同時に、当時の最強の捕食者たるサーベルタイガーですらうかつに手が出せないほどの凶器でもあった。
彼らの骨格は頑強かつ柔軟であり、二本足で立ちあがり前足でこの爪を用いて葉っぱを手繰り寄せたり、土を掘るのにつかわれたらしいが外敵には恐るべき武器になった。
しかも干ばつなど植物が十分に手に入らないときにはなんとほかの草食獣を襲って捕食していた可能性すらあるらしい。体の皮膚はなんと微細な骨版がいくつも連なっており、柔軟な鎖帷子のような構造をしており外敵に対してかなりの防御力を発揮したとされる。
それに加えてこれほどの巨体ゆえ、捕食者からしても幼体や年老いた個体ぐらいしか襲えなかったと、推測されている。そんな彼らが絶滅したのは環境の変動のせいもあるだろうが、当時の人類たちにとっては有益すぎる動物だったことは想像に難くなく、人類に狩られたことも大きな要因であろう。
ナマケモノの祖先はもはやこういう名前すら当てはまりそうである「オソロシキモノ」、そんな言葉が浮かび上がるほどの猛獣メガテリウムである。