ミクロラプトルは鳥だと物語る、翼を持つ恐竜
恐竜は鳥になった、というフレーズは最近は、学会でも認識されつつある。
その認識にも、確たる証拠となった、翼を持った恐竜がいたからである。
今回は、恐竜が鳥類と密接な関わりを持つと、認識させることとなり、恐竜研究に鳥類との関係性を持ち込むに至った、きっかけたる恐竜を紹介していく。
四枚の翼を持つ恐竜
その恐竜の名は「ミクロラプトル」、意味は「小型の略奪者」。
体長50~80㎝程度、翼長1m、体重2~3㎏程。
現代から、約1憶2800万年~1億2600万年前の、白亜紀前期の中国に生息していたとされる。四肢に明確な翼の痕跡を残す、飛行能力を持ち、飛べたとされる飛行恐竜の最初の発見であった。
2000年に、羽毛恐竜の発掘地として、近年恐竜研究で重要な場所たる、中国の遼寧省でほぼ完全な骨格が発見された。
名前の通り、体長は非常に小さく、現代の鳥類ほどの大きさしかない。シッポは非常に長く、飛行におけるバランサーの役目があった。ドロマエオサウルス類の一種であり、このグループは鳥類に極めて近縁の種族である。
明らかに飛べていた翼
ミクロラプトルは、後ろ足にも風切り羽からなる、翼を持つ、四肢に翼を持った、他に例を見ない羽毛恐竜であった。
羽毛恐竜の発見で、恐竜から鳥が生まれたというが、彼らのこの翼は飛行能力を持ち、空を飛行した可能性が極めて高いという。
彼らの手足には、湾曲した鋭い爪があり、これで樹に登る等して、樹上の昆虫を捕らえて食べていたという。四肢の形を顧みても、彼らは地上で行動するには不向きであり、もっぱら生活のほとんどを木の上で過ごしていたらしい。
四肢の翼がどのようにして、獲得されたかはわかっていないが、航空力学的に適った構造で、飛べなかったということはあり得ない。
まあ、飛べても鳥のような羽ばたいての飛行というより、空中をグライダーの様に滑空して、樹木へ飛び移るくらいの飛行能力しかなかったようだが。
飛び方にも諸説あり、四肢を広げてムササビに似た体制で飛んだか、後ろ脚はZ字型に折り曲げて、翼を上下で揃えて、飛行機の複葉機と似たフォルムで、飛んだという説である。
羽は部位によって、ブレーキの役割もあったらしい。これにより、少ない揚力でも飛行が十分可能だった。
だが後ろ足の翼は、抵抗が大きくなるともされ、飛行中の軌道を変えるのに用いていたとされる。これにより、飛行中は意外と小回りが利いたらしい。
ちなみに、後の飛行恐竜は後ろ足の翼を持っていない。
これは翼がより大きく、発達したことで、より簡単に飛行できるようになったからとされる。
意外と体色は目立つ
飛行能力だけでなく、化石に残った羽毛から、色素細胞「メラノソーム」が見つかり、体色も判明した。
それによると、彼らの体色は青みがかった黒色で、しかも羽毛の表面には玉虫色の光沢があったという。復元図でも、青色の翼を持っている姿で再現されることが多いが、予想よりも派手なカラーリングだったらしい。
異性へのアピールなどの、ディスプレイとしての用途があったらしい。
また化石の消化管の部分からは、哺乳と思われる小動物や、小魚骨の痕跡も見つかった。歯も肉を切るのではなく、突き刺すのに適していた。
生存していた地域は、森林が豊富で淡水湖もあり、時と場合によって、様々などうぶつをえり好みせずに食べる、雑食性の食生活を送っていたとされた。
この恐竜こそ、恐竜と鳥類の進化の関係を結ぶ、史上初めての恐竜だった。