恐竜のカラーリングを発展させた虹色恐竜
今回は最近まではほぼ適当でおざなりな扱いをされていた、恐竜たちの色、つまり体色について書き上げる。昔は恐竜の体色といったものは化石からは判別できず、図鑑に描かれている恐竜たちの絵のカラーリングも、ほぼ適当なものだった。
一応皮膚の化石は見つかるには見つかるが、肝心の色素が化石化の過程で失われてしまうせいで体色は長いことわからずじまいであった。
恐竜の体色
しかし2018年になり、ある画期的な新種恐竜がこれまた中国で発見されたと報告された。その恐竜の名は「Cai hong」※(読めなかったのでそのまま載せておく)、中国でよく見つかる羽毛恐竜の新種だが、化石は非常に保存状態がよく、体重500グラムほどと小柄で、なんとこの恐竜、現在のハチドリのように頭と胸の部分がきれいな金属光沢のあるきれいな色の羽毛に覆われており、その色合いはまさに虹色だったとされる。
この羽毛を解析したところ、「メラノソーム」と呼ばれる、色素を蓄える微小細胞器官があったのである。これは現在の鳥類にもみられる。
これはこの恐竜の頭と胸、尻尾の一部に見られ、そしてその形は現代のハチドリの羽の色素の構造と酷似していたとされる、メラノソームはくぼんだ形状で光の角度によって色合いが変わり、光沢を出す特徴があった。
この恐竜は飛行もできる翼と、頭に骨でできた大きなトサカも持っていた。恐竜も鳥類同様明確に色彩を認識でき、きれいな羽毛もおそらくはディスプレイに使われたとされる。
このほかにもこの恐竜の尻尾はシダ状で非対称形で、先端が固く変化していた。それゆえこの羽は飛行に耐えうる羽としては元も古い部類に入るらしく、「最古の羽」と呼称された。実は光沢のある羽毛を持った恐竜は以前にも中国で見つかっている。
飛行恐竜の先駆的発見とされた「ミクロラプトル」が青色で金属光沢のある羽を持っていたとされる。
これを踏まえてか再現図でも青色の体色で描かれることも多い。ちなみにミクロラプトルは前述の虹色恐竜よりも4000万年後に出現した。そして初めて体色が復元された恐竜というのも羽毛恐竜なのである。
その恐竜は「シノサウロプテリクス」、この恐竜も翼はないが全身に原始的な羽毛をもち、体色を解析した結果、赤茶色と白を組み合わせた色合いで、尻尾は縞模様でなんとフワフワの体毛でおおわれたアライグマのような姿と驚きの結論が出されたのである。
カムフラージュ効果の色彩
復元図だとその色合いは目立つように見えるが、濃い色と薄い色を組み合わせたこの色合いは「カウンターシューティング」と呼ばれるもので、日の当たる部分は暗く、当たらない部分は明るくなる。
色の濃淡がはっきりしておりカムフラージュ効果が高く、2色の境界が背中に比較的近いところを見て、このような体色は森林よりも開けた日光がよりたくさん降り注ぐ草原地帯での適応の結果だとされている。
現代では海にすむホオジロザメがこの体色をしている。補足としておくと昔は恐竜の体色は、黒か茶色、灰色と地味なものだとされたが、同時に結構派手な色もしていたのではと少なからず憶測は立っていた。今回はその憶測の証明例ともいうべき希少な発見である。
日本では動く宝石とも呼ばれる「タマムシ」も人間から見ると派手な色合いで、角度によって色が変わり、これで天敵の鳥たちを威嚇しているらしい。恐竜も少なからず防御のために派手な色彩を持っていても、そこまでおかしいことではないだろう。
最後に学者たちは新しい羽毛恐竜が見つかれば、どんどん鳥類との深い関係性が明らかになる。実際どの時代に行けば鳥と勘違いするだろうともコメントを残した。最近の恐竜たちの研究事情は羽毛恐竜たちに非常に寄っていっている、
最新の大型恐竜や怪物級の生物はあまり事例が上がらなくなってきているが、これらの恐竜もまだまだ氷山の一角であり、これからもユーモラスな種類は見つかることだろう。それこそ全身真っ赤な恐竜や真っ青な恐竜も出てくるかもしれない。