オルニトミムス、翼を持った俊足恐竜
今回は、恐竜のなかでも一部では結構有名な恐竜について書き上げていきたいと思う。
その恐竜は羽毛恐竜の進化の観点から見ても、イメージによる創作での扱いも結構重要な立ち入りにいるのである。
鳥に似た恐竜
今回取り上げる恐竜は「オルニトミムス」、別名は「オルニソミムス」、名前の意味は「鳥に似たもの」もしくは「鳥もどき」。
白亜紀後期の北米大陸に生息していた、雑食恐竜の一種であり、それまでの重量級の恐竜とは違った、非常にスマートな恐竜として知られているのである。
その姿は一見するとダチョウにも似ていることから、「ダチョウ恐竜」の通称でも知られている。
体長は約3.5m、体重は約150㎏程度と、その体格は中型、小型といってもいい体躯でありこの時代の恐竜にしてはこのような明らかに細身の恐竜は珍しかった。
草食竜もトリケラトプス等のツノ竜や、カモノハシ竜といった装飾だが大柄なものが大半を占めていた白亜紀後期では意外と珍しい恐竜だった。そして恐竜の羽毛において非常に重要な情報をもたらした恐竜なのである。
1889年のアメリカのコロラド州で初めて発見された、その翌年に新種として認定された。近縁種がモンゴル、中国、スペインからも発見されており、日本でも群馬県で近縁種のものとみられる化石の一部の背骨が発見されている。
俊足の恐竜
彼らは後ろ足が非常に長く、見た目のみならずそのスピードもダチョウ並みだったとされる。最高時速80キロ、緩めに走っても60キロにも達したとされ車級の速度を出せたとされる。
実際長い足はスピードを出すのに向いており、疾走しやすかったのは容易に考えられる。尾は非常に長く、体の半分を占め疾走の際の強力なバランサーになっていたらしい。
このためか創作作品では登場人物たちの移動手段として登場することが多い。実際「ドラえもんのび太の恐竜」でも一行を背に乗せ疾走するシーンがある。リメイク版の「のび太の恐竜2006」でも同じである。
「のび太の銀河超特急」でもロボット恐竜として登場している。この作品でもキャラを背に乗せて走るシーンがある。
原始的な種とあまり特徴に違いがなく、このため進化がそこまで必要ではないぐらいの「完成された体」を持っていたのだと思われている。
雑食性で歯は持っていない
口はアヒルの様に歯がなかったため、捕食性は薄く獲物を狩るにしてもそれは小さなトカゲ、もしくは昆虫などが主なエサだったことだろう。雑食性だった場合、植物も食べることを考えると木の実や草も食べていた可能性は十分にある。一説には水中内のプランクトンをこしとって食べていたともされる。
実際発見された頭部の口付近にはカモなどが持つ「スリット」という器官があることが判明している。これでカモもプランクトンなどをこしとって食べているのである。そして昆虫も口にする。
オルニトミムスも同じだという可能性は高い。歯がないのはこの恐竜のグループの共通点でもある。
翼を持った鳥に遠い恐竜
さて彼らも冒頭で書いた通り、体に羽毛を持っていた可能性が高いのである。特に彼らの腕に重要な証拠が残っていた。ただ羽毛を持っていたのみならず羽毛の起源に迫る情報まで持っていたらしいのだ。
彼らは体と比較しても大きい腕には細めの爪が付いていたが、捕食性の低い彼らが武器に使っていた可能性は低いとされる。最大の発見こそ腕に「乳頭突起」という現生鳥類にもみられる翼が付いてたとされる特徴が見られたのである。
そこに軸のあるカザキリ羽でできた、飛行できないけれど翼があった可能性が高いのである。現生鳥類もこれらの特徴を持っている。というか最近は翼を持っていたと判明したらしい。
一説には恐竜の翼や羽毛は元は別の用途があり、それが派生して飛行できるようになっていったとされる意見もあったが、オルニトミムスは進化において一度も飛行を試みたケースはなく、このことから翼はあっても求愛や、卵を抱卵し温めるといった別の用途があったと結論付けられたのである。
この恐竜の発見で、恐竜の羽毛の起源が結論付けられるに至った、非常に重要性の高い恐竜と言える。
新たな風をもたらした「羽毛とツバサ」
だが羽毛や翼があっても彼らは分類的に実は鳥類とは、遠い種であり、研究の結果翼の発生過程も現生鳥類と違っていたことが判明した。このことから彼らは非鳥類的恐竜と呼ばれる。
今までは羽軸のある羽を持った恐竜はラプトル類ぐらいしか発見されていなかった、しかこれらは鳥類にかなり近い恐竜として知られている。
オルニトミムスの発見により、恐竜は生まれて一年は柔らかい羽毛で覆われており、一年以上たってようやく羽軸のある翼を腕に持つようになるということが判明した。
だがほかのグループの恐竜の羽毛には発生の違いは確実にあるので、オルニトミムスだけを中心に考えるのはまだ早いといえる。
実際新たな発見により、羽毛とツバサ、鳥類の起源も変動するため今後の発見がまた新たな風を吹き込み、さらなる壮大な恐竜世界という大空に羽ばたかせてくれることだろう。