カツオノエボシ、長大な触手の猛毒クラゲ
最近は暑さも若干和らいできて、外出に赴く人も出だしたようだが、夏と言えば海だろうが、お盆が終わると海水浴に行くには注意が必要である。
この季節の海水浴場には大量のクラゲが見られだす時期だからである。クラゲというとまず刺してくるといったイメージが強い。実際毒の強いクラゲに刺されると、運が悪いと死ぬ危険もあるのである。
海の危険動物クラゲ
今回は海水浴で身近な危険クラゲの事を取り上げていこう。今回取り上げる危険クラゲの名は「カツオノエボシ」。毒クラゲの中で最も名が売られているといっていい、危険クラゲである。別名に「電気クラゲ」といったものさえある。
奇妙な見た目
見た目は普通のクラゲのイメージと異なり、まるでボートの帆のような風船みたいな浮袋がある。ここには二酸化炭素などが詰まっており、これで海面に浮いているのである。普通のクラゲがかさ状の胴体で、ふわりふわりと水中を泳ぐといった行動を取るのに対し、遊泳能力がほとんどないので彼らはこの風船状の器官で、風に揺られ移動するのである。
そういった移動方法をしているためか、砂浜に打ち上げられている様子も数多く見受けられる。見た目自体も、青い色彩が美しく知識がなければ不用意に触れてしまいそうな色合いをしているが、前述の通り、猛毒のクラゲなのである。
最も遭遇しやすい猛毒クラゲ
クラゲは触手に毒がある針があるといたイメージがあるが、本種もこれらと同様とてつもなく長い触手を持つのであるが、これの長さが群を抜いておりなんと個体によっては長さ50mにまで達する規格外の個体までいるほどである。
平均的な長さでもなんと10mに達する個体もおり、普段はこれを使い水中の小魚や甲殻類を食べているのであるが、これが人間にとって最悪の武器になりうるのである。
触手は刺激を受けると刺胞という針を含んだ器官が反応し、敵に刺さるのである。殺傷力が強く刺されると電撃を受けたような激痛と猛烈な炎症に襲われ、二回目に刺されるとアナフィラキシーショックに見舞われることが多く、かなり危険と言える。
水中にいる際にカツオノエボシの姿が見えた時点で、その周辺には触手があり、針が刺さる瞬間に直面しているといえる。青色で海の色に溶け込みやすいのが被害の発生に拍車をかけているといえる。
正しい、間違った対処法
刺された際の対策としては、幹部に巻き付いた触手を海水で洗い流す、45℃程度のお湯に浸すか、氷で冷やしすぐに病院に行くかしたほうがいい。
取り除く際にも刺されることがあるので、かなり厚手の手袋で海水で洗い落とすかで触手を落とす。
この際に世間では酢をかけたり、真水をかけたりといった対処法が広まっているが、逆に触手の刺胞を刺激してしまい余計に毒が出て、悪化させてしまいかねないので間違っている。
7月~9月には全国に発生するようになるなど、危険性では最も有名と言える。全国的ということはそれだけ海水浴での遭遇の機会が多い、つまり刺される事例が多くなるといった意味でかなり危険と言える。
刺された際にパニックを起こし、溺死してしまう可能性も高く死亡例も報告されているほど。
打ち上げられてしばらくしても触手はその機能を維持しているため、近づいて不用意に触れても毒に侵される危険があり、特に子供は興味本位で柄づいてしまい、ビニールともほぼ見分けがつかないことも厄介である。
特殊な体と天敵
カツオノエボシはヒドロ虫という、微生物が結集してできた生物であり、一個体の生物ではないのである。数多くの微生物が胴体、触手、針、といった体の様々な部分を形成しているのである。天敵も存在し、アオミノウミウシという全身が青の非常に美しいウミウシの仲間が天敵なのである。
彼らには毒が全く聞かず、仕留められこそせずともかじられるのは防げないのだという。上には上がいるとはよくいったものである。
夏も終盤、海に行く際にはこのクラゲに要注意である。