絶対強者への反逆。恐竜を食らった哺乳類!
今回、少々短くなるが我々の祖先たちが恐竜に負けっぱなしではなかったということ、いつか日の目を浴びるべく戦力を着々と整えていたことを書いていく。
哺乳類
我々人間は哺乳類に属する生物のグループであり、チンパンジーが我々と非常に近いことはよく知られた事実である。そんな哺乳類の時代は恐竜たちが絶滅した後でようやく訪れるのだ。
この時代において哺乳類は現在のネズミほどの大きさ、種類によってはそれ以下であるなど、あまりにもひ弱な存在でしかなかった。
恐竜という絶対強者たちの前では、彼らは数千万年もの間小さくなることでなんとか身を隠して生き延びたが、それゆえ長きにわたり日の目を見ることはなかった。
恐竜が絶滅した後でようやく進化の糸口が見え、現在の繁栄につながるが、恐竜絶滅後においても恐竜の残照ともいうべきほかの記事でも書いた、大空から地上に戻り玉座に君臨した恐鳥類により長きにわたり繁栄を阻まれ続けた。
だがこの恐竜の時代にはすでに現代のムササビのような種や、水中を泳げる種もすでに存在しており、人知れず哺乳類たちは日の当たらぬ中、ひそかにその種を多様化させ現在に至る哺乳類の基盤を秘密裏に作り上げていたとされる。
そんな長きにわたり隠れ住み続けた原始哺乳類の中にもなんと驚いたことに、恐竜を捕食していた明確な証拠が残る当時としては大型の肉食哺乳類がいたのである。
それはまさにまだ弱かった哺乳類の中からの、恐竜への反逆者ともいうべき生き物だった。
恐竜を捕食していた哺乳類
その哺乳類の名は「レペノマムス・ギガンティクス」、明確に恐竜を捕食していた証拠が残る史上初めての恐竜時代の哺乳類であった。この種は2005年の中国の白亜紀にあたる年代の地層でほぼ完全な化石が発見された。
その体長は80センチ、体重は推定で10㎏以上とされと、当時の哺乳類の中では極めて大きく、例えるなら現在では家庭犬として有名なラブラドール・レトリバーとほぼ同等だったとされる。
もはや小型哺乳類のカテゴリには収まりきらない。しかも体格に比べて頭骨と歯は大きく、下顎の骨も大きく発達し強力な咬筋力の持ち主だったことは想像に難くない。
どれほどの顎の力かというと、彼らの化石の腹部の胃袋にあたる部分に真っ二つにされた草食恐竜の幼体の化石が見つかったのである。幼体とはいえ真っ二つにするにはそれなりの力が必要なため、この化石だけで強力な顎の威力が見て取れる。
そして歯の構造上肉を咀嚼するには不向きで、食いちぎって食べやすい大きさにした後はそのまま丸呑みしたらしい。
復元図を見てみると、現在にオーストアリラに生息する肉食の有袋類、タスマニアデビルに近いだろうか。彼らも体格に比べ頭骨が大きく、強大な顎の力は骨をもかみ砕く力をも生み出していた。
だがこれだけ大きいと肉食恐竜に見つかる可能性は高く、生存も厳しかったとされる。しかし恐竜以外の生物が明確に恐竜を捕食していた重要な証拠でもある。
確かに成体の恐竜には敵ではなかっただろうが、幼体の非力な子供にとっては強大な敵であったということであり、確かに恐竜は王者だったが、それ以外の生物たちも全くの無策で無力なわけではなかったということである。
この動物の生息していた時代の地層からは羽毛恐竜も数多く発見されており、一説にはこれら肉食性の哺乳動物から逃れるために翼を発達させたとも考えられている。
この時代に人知れず種を繁栄させていた我々の祖先は、今後の恐竜時代の終焉とそれに伴う、地球生物の世代交代の未来を少なからず予知し、この反逆者を生み出したのかもしれない。