角だらけの恐竜、スティラコサウルス
今まで様々な記事を書いてきたが、青の数多の恐竜の記事の中で意図せずしてトリケラトプスなどの角竜の記事がほぼないということに気づき、これはまずいと思い、今回は角竜の記事を書く。
その角竜もトリケラトプスと同じく有名な種類であり、商品化もロボット化もされている、かなりメジャーな恐竜である。
有名度ではトリケラトプスと同等
今回取り上げる角竜の名は「スティラコサウルス」、名前の意味は「棘のあるトカゲ」。約7500~7000万年前の白亜紀後期のアメリカを中心に生息した代表的な角竜の一種である。
トリケラトプスに比べると少々マイナーだが、その見た目の派手さゆえか前述の通り商品化の機会にかなり恵まれている恐竜である。
体長5.5m、体重3t。アフリカゾウとほぼ同程度の体格の持ち主である。だがそれでも角竜最大種のトリケラトプスよりも小柄であった。
発見されたのは1913年とまたも古い時代であり、完全な骨格は約2体発見されている。またボーンベッドと呼称される、化石の密集地帯も発見されており彼らが群れで暮らしていた可能性が高くなっている。
ここからは100体もの大量の化石が発見された。角竜類はどの種も群れで暮らしていた痕跡が発見されており、彼らもその例にもれなかったらしい。
セントロサウルス類と、カスモサウルス類という角竜の2大グループの一つに属する角竜であり、そのフリルの派手さではトリケラトプスを上回るものがある。
フリルに付いた多数のツノ
その派手さの根源たる特徴は、彼らのフリルの縁についていた合計6本の角である。トリケラトプスの3本角とは違い、顔の角は鼻先の大きく長い一本角しかなく、目の上に角はなくコブ程度の突起しかなかった。
肝心のフリル自体もトリケラトプス以上に大きかったものの、化石を見ると大きな穴が二つ開いており見かけよりも軽量な構造をしていた。
だが軽量ということは強度が劣るということでもあり、見かけに反して防具としての機能面は低かったとされる。
このフリルの角はホーンレットと呼ばれ、内側から外側に曲がる、扇状にして生えていた。一番長いものでは鼻先の角と同等の50㎝に達するものであった。
ちなみに鼻先の角の長さは57㎝にも達する長大なものである。そして角と言えないまでも小さめのスパイクが付いていた、前述の通り進化の過程で獲得したにしてはレガリケラトプスと同等の派手さのものがあった。
頭部は角以外にも特徴があり、大きな鼻孔(鼻の穴)と巨大な猛禽類の如きくちばしが付いていた。このくちばしと強靭な顎で、繊維質で普通は食べるに適さないほど硬い植物をも口にできたと考えられている。
威嚇に特化していた
個人的にフリルを軽量化したのは成長過程で角が生え育ってくるゆえの、重量過多を防ぐための対策だったと思う。軽量化せずにそのまま6本もの角が生えてはいくら角竜類の首と筋肉が巨大な頭部を支えるに特化したものと言えど、支えきれなくなってしまうので致し方なかったと思われる。
そのフリルの角自体も武器や防具としてより、相手へ見せつけての威嚇目的のディスプレイの意味合いの方が強かったとされる。だが視覚的に首元を守るフリルと、そこにある大きく長い角によって外敵たる肉食竜に攻撃を戸惑わせた可能性があることは、十分に考えられる。
こういう装飾的な器官というのは往々にしてディスプレイとして活用されることがほとんどである。一説には穴の皮膚の表面には目玉の様な恐ろし気な模様があり、そこに派手な色が加わり、一層威嚇の効果が高まっていたともされている。
図鑑の復元絵でもフリルは派手な模様をしていた可能性を考慮して、派手に描かれるパターンが多い。他の用途としては体温を調節するための役割があり、穴の部分の皮膚に風を当てれば血行により上がりすぎた体温を下げられたかもしれない。
進化の果てにツノを失くす
彼ら以降のセントロサウルス類は角を持つどころか、フリルもだんだん地味になっていき最終的には角どころかコブを持つだけの、もはや角竜のつの字もない進化をたどることになってしまう。
こんな進化をしたのは彼らが同種同士で争いを行う際に、意図せずして死んでしまう個体が多く出てしまったためだとされる。
その結果ツノのない個体に進化が寄っていった可能性があるのである。正直身を守るための武器が味方まで殺していて、最後に角がなくなることを選ぶなど比肉としか言いようがない自体である。
そのド派手さは仮面を思い浮かばせるほどでもあり、やはり彼らが創作に登場する機会が多いのも派手さゆえであろう。
白亜紀の恐竜は見た目に秀でた個体や種類がかなり多いので、これは彼らに限った事例ではないのだが。