三本角のトリケラトプスはティラノのライバル
恐竜の中で最も有名なのは、何を隠そうこの肉食恐竜ティラノサウルス以外ありえないであろう。
地球の歴史上では陸上最大の肉食動物とされ、もっとも知られた恐竜であり、恐竜に興味を持たない人でも名前ぐらいは知っている、恐竜の代表といっても過言ではないのである。
実質白亜紀後期のアメリカの生態系の頂点に立っていた捕食者であり、当時の北米ではティラノ一族が猛威を振るい、他種の肉食恐竜の台頭を阻み続けていた。
以外にも草食恐竜
その中でそのティラノサウルスにほぼ互角に渡り合うことができた中生代最後の三本角の草食恐竜がいた。その草食竜の名は「トリケラトプス」名前の意味は「三本の角を持つ顔」という意味である。
体長は9メートル、体重は9トンにも達したとされる、角竜の中で最大の種であった。角竜という頭部に角を持った草食竜のグループの代表格であり、ティラノサウルスの最大のライバルにして知名度もティラノサウルスに負けない恐竜たちの中でも有名な存在であり、メディアでも出演の機会が多い。
その名の通り、頭部の目の上と鼻の部分に三本の角が付いており、大きなフリル(エリマキ)もあった。フリルは首周りを守る盾の役割、もしくは異性へのアピールのためであるともされる、しかし後述の傷跡のことも考えると、縦としての役割も間違いなくあったようである。
このツノは強力な武器でもあり、実際ティラノサウルスの肋骨や足の化石の中にはこのツノに貫かれた痕跡がある化石が発見されているのである。
反対にトリケラトプスのフリルやツノにも、ティラノに噛みつかれ、歯形が残っていたフリルや骨を削り取られてその部分が再生した痕跡がある化石も見つかり、この2種類の恐竜がお互いに戦いを繰り広げていた明確な証拠になっている。
角が凶器
昔の仮説では現在のサイのように敵に突進していくという戦い方をしていたと考えられていたが、現在では敵にツノを突き上げるようにして、刺し貫くという戦い方だったという考えが浸透してきた。
一応首の骨はツノ付いた巨大な頭部を支えるために頑強な構造ではあった。
このツノは刺したりするときの縦方向からの力よりも横方向からの力に強い構造であり、同種同士がツノを組み合わせたときにでもそうやすやすと折れない作り方になっていた。
ツノやフリル内部には太い血管が通っていた痕跡があり、効率よく栄養を送り込み、ツノを成長させるのに役立ったとされている。別の話だが近年、角竜の別種のカスモサウルスの幼体(赤ちゃん)の化石が発見されたが、この幼体はツノがこぶくらいしかなくフリルも小さいため、成長過程で角とフリルが多き成長していった何よりの証拠の化石となっている。
食性は草食性であり、大きなくちばしを持っており、たくさんの奥歯も持っていたが、すりつぶすよりも切り刻むのに適した構造になっていた。また咬筋力も相当なもので、かなり硬いものも食べられたと推測される。
最近このトリケラトプスがある騒動のやり玉に挙げられたのである。それは近縁種のトロサウルスと同じ種類なのではということである。
どう言うことかというと、トリケラトプスは成長の過程でフリルの薄い部分に穴が開き、近縁種のトロサウルスのようになっていくというもの、このせいでトロサウルスと実は同じ種類なのではないかという憶測がたったのである。
それがもしも本当ならトロサウルスの名前が恐竜の中から消えるということになるのだが、何がどうなったのかこれが、トリケラトプスが消えるという内容に曲解されて世間に広まってしまったのである。
その結果反対運動や炎上騒ぎが起きるなどの想定外の騒動に発展したのである。だがこれも推測の範囲内で断定されたわけではないのだが、相当の広まりが出たことには驚きを隠せない。
有名ゆえに少々、騒ぎになってしまったトリケラトプス、もしかしたらティラノのようにもっと有名になってほしいという天の願いでもあったのかもしれない。